お問い合わせ
育成就労

【2027年4月施行】育成就労制度とは?技能実習との違いと、受入れ企業に求められる日本語教育を解説

公開日:2026.10.30監修:アークアカデミー

この記事で分かること

  • 育成就労制度の目的と仕組み
  • 技能実習制度との主な違い
  • 受入れ企業に求められる日本語教育と準備のポイント

2027年4月1日、日本の外国人材受入れ制度が大きな転換期を迎えます。30年以上にわたり運用されてきた「技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。

これに伴い、企業の現場や人事ご担当者様からは、「技能実習と何が違うの?」「受入れ企業は何を準備すればよいの?」といったご相談が増えています。今回の制度改定における最大の変更点の一つが、受入れ企業に対して日本語教育の実施が明確に求められるようになることです。

本記事では、育成就労制度の概要、技能実習制度との違い、受入れ企業に求められる日本語教育、そして2027年施行に向けた準備スケジュールと成功のポイントを解説します。

1. 育成就労制度とは?

育成就労制度とは、深刻な人手不足に直面している産業分野において、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号」水準の人材を育成・確保するための制度です。施行日は、政令により2027年(令和9年)4月1日と定められています。

従来の技能実習制度の目的は「開発途上国への技能移転(国際貢献)」でした。育成就労制度では、制度の目的が「人手不足分野における人材の育成と確保」へと明確に切り替わります。

ポイントは「特定技能へのステップアップ」

育成就労制度の最大のポイントは、育成就労(原則3年) → 特定技能1号 → 特定技能2号と、段階的にキャリアを積める仕組みが整備されたことです。企業にとっては、育成した優秀な人材に長期にわたって現場で活躍してもらいやすくなる制度といえます。

対象となる17分野

対象分野(育成就労産業分野)は、特定技能の全19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた以下の17分野です(2026年7月時点)。

区分 対象分野
従来からの特定技能分野(14分野) 介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、鉄道、林業、木材産業
新たに追加された分野(3分野) リネンサプライ、物流倉庫、資源循環

2. 技能実習制度との違い

技能実習制度との最も大きな違いは、「日本語能力の要件が設けられたこと」と、「本人の意向による転籍(職場の変更)が一定条件のもとで認められること」の2点です。

項目 技能実習制度(現行) 育成就労制度(2027年4月〜)
目的 技能移転による国際貢献 人手不足分野の人材の育成・確保
在留期間 最長5年 3年以内(原則)
対象 96職種174作業(2026年7月時点) 17分野
日本語能力要件 原則なし(介護職種を除く) 就労開始前にA1相当(N5相当)の試験合格、または所定の日本語講習の受講
転籍(転職) 原則不可(やむを得ない事情による場合のみ認められる) やむを得ない事情に加え、本人意向でも一定要件のもと可能
監理・支援 監理団体 監理支援機関(外部監査人の設置が必須)
特定技能への移行 2号修了者は関連する分野であれば試験免除で移行可(それ以外は試験合格が必要) 対象分野が特定技能と原則一致しており、移行の道筋が明確(技能・日本語の試験合格が必要)

参照元:育成就労制度の概要(出入国在留管理庁)

転籍が可能になることの意味

本人意向による転籍には、同じ受入れ先での一定の就労期間(分野ごとに1〜2年の範囲で設定)や、技能検定(基礎級)等への合格、日本語能力A2.1相当以上の試験への合格などの要件が定められています。

つまり、日本語力が伸びるほど、外国人材は「自ら職場を選べる力(転籍の要件を満たす力)」も身につけることになります。「この会社で成長できる」「ここで働き続けたい」と感じてもらえる教育環境づくりが、人材の定着に直結する時代になるといえるでしょう。

3. 受入れ企業に求められる日本語教育

育成就労制度では、日本語能力を段階的に引き上げていくことが制度の前提となっています。そのため受入れ企業には、日々の技能指導だけでなく、日本語能力の体系的な育成も求められます。

段階ごとに求められる日本語レベル

タイミング 求められる水準 確認方法の例
就労開始前 A1相当(N5相当) JFT-Basic A1以上 または JLPT N5以上。
※未合格の場合は所定のA1相当講習を受講
特定技能1号への移行時 A2.2相当(N4相当) JFT-Basic合格 または JLPT N4以上

~本人意向による転籍を希望する場合~
本人意向による転籍時には、A2.1相当以上の日本語能力が求められます。確認方法の例:JFT-Basic(A2.1相当以上)
※分野によっては、上記より高い水準が独自に上乗せされる場合があります。

「A1相当講習」は100時間以上

就労開始までにA1相当の試験に合格していない場合、就労開始前(入国後講習など)に100時間以上のA1相当講習を受ける必要があります。講習を担えるのは、原則として認定日本語教育機関の「就労のための課程」です。

ただし、施行後5年程度を想定した経過措置として、登録日本語教員による講習(教師1人あたり受講者20人以下などの要件あり)も認められます
(参照元:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について」)

就労開始後も、学び続ける仕組みが必要

入国時のA1水準はあくまでスタートラインです。3年後の特定技能1号移行(A2.2相当)に向けて、現場で就労しながら計画的に学べる社内環境を整えることが、受入れ企業の果たすべき重要な役割になります。

4. 日本語教育を成功させる3つのポイント

制度の要件を満たすだけでは、現場で真に戦力化する人材は育ちません。次の3点を押さえることで、日本語教育を単なる「義務」から「持続可能な投資」へと変えることができます。

① 3年間を見通した学習計画を立てる

入国前・入国後のA1講習、就労中の継続学習、転籍時のA2.1水準、特定技能移行時のA2.2水準など、目標を時期ごとに明確に区切り、育成就労計画と連動させて設計することが重要です。

② 「試験対策」と「現場の日本語」を両立させる

JLPTやJFT-Basicの合格に向けては、出題形式に沿った問題演習などの試験対策が効果的です。これに加えて、現場での作業指示の理解や安全確認に必要な日本語も学ぶことで、学習した知識を実務に活かしやすくなります。製造・介護・外食・物流など、業種ごとの専門用語や「報・連・相(報告・連絡・相談)」の実践フレーズをカリキュラムに組み込み、試験合格と現場での円滑なコミュニケーションの両方を支えることが、早期の戦力化につながります。

③ 成果を数字で確認し、改善を続ける

試験の合否結果だけでなく、現場リーダーへの定期ヒアリングや本人への振り返りアンケート、業務指標(作業時間・ミス件数の減少率など)を定期的に測定しましょう。成果を可視化(データ化)することで、研修内容のタイムリーな改善や人事評価への適切な反映が容易になります。

5. 施行に向けたスケジュール

制度の本格施行は2027年4月ですが、受入れ企業の実質的な準備はすでに始まっています。

2026年9月1日〜:育成就労計画の「施行日前申請」の受付が開始(外国人育成就労機構〔OTIT〕の地方事務所・支所へ申請)。候補者の選考、日本語研修機関の選定、社内教育体制の設計は、申請までに整えておくことが望まれます。

2027年4月1日:育成就労制度の本格施行。

移行期間:施行日時点で技能実習を行っている方などは、経過措置により引き続き技能実習を継続できます。施行日以降の新たな受入れは、原則として育成就労制度で行うことになります。

6. まとめ

育成就労制度は、外国人材を「育てて、長く活躍してもらう」ための制度です。そして、その成長プロセスの土台となるのが「日本語教育」です。

  • 2027年4月1日施行:原則3年で特定技能1号水準の人材を育成・確保する。
  • 段階的な向上:就労開始前のA1から特定技能移行時のA2.2まで、計画的な日本語力の向上が受入れ企業に求められる。
  • 定着の決定打:本人意向の転籍が可能になる新制度下では、「成長を実感できる職場環境」の整備こそが人材流出を防ぐ最大の武器となる。

直前になって混乱しないためにも、日本語教育のパートナー選びや受入れ体制の構築は、早期のご検討をおすすめします。

アークアカデミーでは、就労開始前のA1相当講習(100時間以上)から、就労中のA2講習、特定技能移行対策、業種別の現場日本語まで、3年間を見通した体系的な日本語研修をご提案します。ご相談・お見積もりは無料です。お気軽にお問合せください。

外国人社員が定着する日本語研修をお探しですか?

アークアカデミーでは、企業ごとの課題・業務内容・ご予算に合わせて、オーダーメイドの日本語研修をご提案します。

お問い合わせはこちら